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米国は14日、イスラエルの建国70年に合わせて在イスラエル大使館を商都テルアビブからエルサレムに移転した。
東エルサレムを将来の独立国家の首都と想定するパレスチナは猛反発しており、パレスチナ自治区ガザでは14日、4万人が抗議デモに参加。
ロイター通信によると、イスラエル軍との衝突で、少なくともパレスチナ人41人が死亡し、900人が負傷した。
1日の犠牲者としては、イスラエル軍がイスラム組織ハマスに大規模攻撃した2014年以降で最悪規模となった。
米大使館移転はトランプ米大統領が昨年12月にエルサレムをイスラエルの首都と
「認定」したことに続き、歴代の米政権が維持してきた中東政策を大きく転換するものだ。
一方、パレスチナにとっては、15日はイスラエル建国により、パレスチナ人70万人が住み慣れた土地を追われ難民となった
「ナクバ(大惨事)」を年に一度思い起こす日とされる。
パレスチナ人とイスラエル軍との衝突はさらに激しくなる可能性がある。
エルサレムのアルノナ地区で開かれた大使館開設式典にはトランプ氏の長女のイバンカ大統領補佐官、娘婿のクシュナー大統領上級顧問や、ムニューシン財務長官ら政府高官が出席。
トランプ氏はビデオメッセージを寄せ、
「エルサレムはユダヤの人々が古代に確立した首都だ」などと述べた。
移転先は米総領事館の敷地内で、当面はフリードマン大使の執務室を置くなど、暫定的な機能にとどめる。
イスラエルは1948年の第1次中東戦争で西エルサレムを獲得。
67年の第3次中東戦争で東エルサレムを占領し、80年にエルサレムを首都と宣言した。
国連がイスラエルによる首都宣言の無効決議を採択したため、各国は大使館をテルアビブに置いてきた。
米議会は95年にエルサレムへの大使館移転を促す法案を可決したものの、米国の歴代大統領は中東和平交渉への影響を懸念し大使館移転を延期してきた。
しかし、トランプ氏は昨年12月、支持基盤であるキリスト教右派や親イスラエル勢力の意向を受け入れ、選挙公約だった大使館の移転を表明した。
エルサレムは国際的にはイスラエルの首都とは認められていない。
しかし、ネタニヤフ首相は最初に大使館をエルサレムに移した10カ国への
「優遇措置」を明言し、米国の影響下にある国を中心に追随の動きが出ている。
中米グアテマラは16日にエルサレムに大使館を移転予定。
中米のホンジュラス、パラグアイ、東欧のチェコやルーマニアも移転を検討している。
日本は同調しない方針。